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「SPCC」「SUS304」「A5052」——図面や現場では当たり前のように使われる材料記号ですが、「そういえば何の略だろう?」と改めて考えると、意外と答えられない方も多いのではないでしょうか。さらに「A1050-2B」「SUS304-CP」のようにハイフンの後ろにつく記号も、実はきちんと意味があります。新人の方はもちろん、ベテランの方にも「そういうことだったのか」と感じていただける内容をまとめました。
※本画像は生成AIを使用して作成しました。
■ 鉄系材料
【SPCC】
正式名称:Steel Plate Cold Commercial(冷間圧延鋼板)
S=Steel(鋼)、P=Plate(板)、C=Cold(冷間圧延)、C=Commercial(一般用途)の略です。冷間圧延とは常温で圧延する製法で、表面が滑らかで寸法精度が高いのが特徴です。板金・プレス加工で最もよく使われる汎用材料です。
【SECC】
正式名称:Steel Electrolytic Cold Commercial(電気亜鉛めっき鋼板)
SPCCにE=Electrolytic(電気めっき)が加わった材料です。表面に亜鉛めっきが施されており、SPCCより錆びにくいのが特徴です。家電・電気機器のカバーや筐体によく使われます。
【SPCCの調質記号】
SPCCの後ろにつくアルファベットは調質(硬さ・成形性)と仕上げの区分を表しています。
・SPCC-SB :標準調質・標準仕上げ(最も一般的)
・SPCC-SD :深絞り用(Drawing)。絞り加工に向いた柔らかい材料
・SPCD :深絞り用冷延鋼板。D=Drawing(絞り加工)の略
・SPCE :極深絞り用。E=Extra deep drawing(特に深い絞り加工)の略
【SS400】
正式名称:Steel Structure 400(一般構造用圧延鋼材)
S=Steel(鋼)、S=Structure(構造用)、400=引張強さの下限値(400MPa以上)を表します。「ヨンヒャク」と読む人も多い定番材料です。強度があり溶接性も良く、構造部品・フレームなどに幅広く使われます。
【S45C】
正式名称:Steel 0.45% Carbon(機械構造用炭素鋼)
S=Steel、45=炭素含有量0.45%、C=Carbon(炭素)の略です。炭素量が多いほど硬く強くなります。切削加工で多用される代表的な材料で、焼入れ・焼戻しによる硬度調整も可能です。
【SCM435】
正式名称:Steel Chromium Molybdenum 435(クロムモリブデン鋼)
S=Steel、C=Chromium(クロム)、M=Molybdenum(モリブデン)、435=炭素量・強度区分を示します。強靭性・焼入れ性が高く、シャフトやボルトなどに使われます。
【SKD11】
正式名称:Steel Kogu Die 11(合金工具鋼)
S=Steel、K=Kogu(工具のローマ字表記)、D=Die(ダイス=型)の略です。硬くて耐摩耗性に優れ、金型・治具の製作に多く使われます。
【SKH51】
正式名称:Steel Kogu High-speed 51(高速度工具鋼/ハイス)
K=Kogu(工具)、H=High-speed(高速度)の略で「ハイス」とも呼ばれます。高温でも硬さを保つ性質があり、ドリル・エンドミルなどの切削工具や金型部品に使われます。
【FC250 / FC350】
正式名称:Ferrum Casting(ねずみ鋳鉄)
F=Ferrum(鉄)、C=Casting(鋳物)の略です。
250 / 350 は引張強さ区分を表します。
鋳造性・切削性・振動吸収性に優れ、工作機械のベース、ポンプ、コンプレッサー部品などに使用されます。
FCD450】
正式名称:Ferrum Casting Ductile 450(球状黒鉛鋳鉄)
D=Ductile(延性)の略で、FCより高い強度と靭性を持つ鋳鉄です。
自動車部品、油圧機器、機械構造部品などに使用されます。
■ ステンレス系材料
【SUS304】
正式名称:Steel Use Stainless 304(ステンレス鋼)
S=Steel、U=Use(使用)、S=Stainless(錆びない)の略です。304はAISI規格(米国鉄鋼協会)の番号で、クロム18%・ニッケル8%を含む「18-8ステンレス」として知られています。耐食性・加工性ともに優れた最も一般的なステンレスです。
【SUS316】
正式名称:Steel Use Stainless 316
SUS304にモリブデンを添加した材料です。塩化物への耐食性がSUS304より高く、食品機械・医療機器・海洋環境向け部品に使われます。
【SUS430】
正式名称:Steel Use Stainless 430(フェライト系ステンレス)
クロム系(ニッケルなし)のステンレスです。SUS304より安価で磁性があります。耐食性はやや劣りますが、厨房機器・家電部品などコストを抑えたい用途に使われます。
【ステンレスの表面仕上げ記号(-〇〇の部分)】
ステンレスはハイフンの後ろに表面仕上げの種類を示す記号がつきます。
・-2B :最も一般的な冷間圧延後の標準仕上げ。表面は均一な光沢で滑らか
・-BA :光輝焼鈍(Bright Anneal)仕上げ。鏡面に近い光沢があり、外観品質が高い
・-CP :コイル研磨(Coil Polished)仕上げ。均一な研磨目が特徴
・-HL :ヘアライン(Hair Line)仕上げ。細かい研磨目が入った仕上げ。建材・外装・厨房機器に多い
・-#400 / #600:バフ研磨の番手。数字が大きいほど細かく光沢が高い
■ アルミ系材料
【アルミ合金の系統(1000〜7000番台)】
アルミ合金はA+4桁の数字で表され、先頭の数字が合金系統を示します。
・1000番台:純アルミ系(A1050など)。柔らかく電気・熱伝導性が高い
・2000番台:アルミ+銅(Cu)合金(A2017=ジュラルミンなど)。高強度だが耐食性は低め
・3000番台:アルミ+マンガン(Mn)合金。成形性・耐食性が良く缶・屋根材などに
・5000番台:アルミ+マグネシウム(Mg)合金(A5052など)。耐食性・強度・溶接性のバランスが良い
・6000番台:アルミ+Mg+シリコン(Si)合金(A6061など)。強度・切削性に優れる
・7000番台:アルミ+亜鉛(Zn)合金(A7075など)。最高強度クラス。航空機材料に使用
【ADC12】
正式名称:Aluminum Die Casting 12(アルミダイカスト合金)
ADC=Aluminum Die Casting(アルミダイカスト)の略です。
流動性・鋳造性に優れ、複雑形状を量産しやすいのが特徴です。
寸法安定性や加工性にも優れ、自動車部品、電子機器筐体、産業機械部品など幅広い分野で使用されています。アルミダイカスト材の中でも最も一般的な材料です。
【アルミの質別記号(-〇〇の部分)】
アルミの記号に続くハイフン以降は、熱処理・加工による「質別(調質)」を示します。
・-O :焼きなまし(最も柔らかい状態。O=Annealed)
・-H :加工硬化(冷間加工で硬くしたもの。H=Strain Hardened)
-H12 / H22:1/4硬質
-H14 / H24:1/2硬質(最もよく使われる)
-H18 / H28:硬質(最大硬化)
・-2B :H24相当の日本独自の旧表記。2B=1/2硬質のBright(光沢)仕上げの意味
・-T4 :溶体化処理後、自然時効(T=Thermally treated)
・-T6 :溶体化処理後、人工時効硬化処理。A6061-T6が代表例で強度が高い
・-T651 :T6処理後、引張矯正したもの。残留応力が少なく精密加工に向く
■ 銅系材料
【C1100】
正式名称:Copper 1100(タフピッチ銅)
C=Copper(銅)、1100=JIS規格番号です。純度99.9%以上の銅で、電気伝導性・熱伝導性が非常に高く、電気部品・端子・コネクタなどに使われます。「タフピッチ」とは精錬工程の名称に由来します。
【C2600】
正式名称:Copper 2600(真鍮/黄銅)
銅(Cu)と亜鉛(Zn)の合金で「真鍮(しんちゅう)」とも呼ばれます。金色の外観を持ち、加工性・めっき性に優れています。バルブ・水道部品・装飾部品などに広く使われます。
【銅合金の質別記号】
銅系材料にもアルミ同様、質別を示す記号がつく場合があります。
・-O :焼きなまし(軟質)
・-H :加工硬化(硬質)
・-1/2H:半硬質(板バネなど弾性が必要な部品に)
■ まとめ
材料記号は一見難しそうに見えますが、英語の略称や数字の意味を知ると「なるほど」と感じるものばかりです。さらにハイフン以降の記号まで読めるようになると、図面から材料の状態や仕上げまで一度に読み取れるようになります。図面や現場で記号を見かけたとき、ぜひ由来を思い出してみてください。当社では材料選定の際に量産目線でのアドバイスも行っております。お気軽にお問い合わせください。
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2026.06.17
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